高校時代に剣道をした者なら良くも悪くも強烈な記憶とともに思い出に残るのが、剣道部の夏合宿です。
高校で剣道をしている現役の皆さん、今年の夏合宿はいかがでした?
7月は鬼のように暑かったのに、8月は雨ばっかりで暑くない日も多かったので、助かったー!という感じだったでしょうか?
室内競技である剣道は、外を走るランニングや1年生の基礎体力作りの期間以外は、ほとんど道場内の稽古になるため夏の直射日光をもろに浴びてのヘビーな状況になるのは、野球、サッカー、陸上、テニスなどに比べればまだいい方ですが・・・。
室内でも熱気がこもると、厚い道着と防具を身に着けているため体は鬼のように熱くなりますから、当然汗でぐっちょりになり、非常に肉体的にも精神的にもすごくキツイ!
そんなきつい夏の稽古でも、特に夏合宿となると、これはもう高校生剣士にとっては、非常に恐ろしい一大イベントなのです(笑)。
今回はそれについて書きましょう。
ドキドキの夏合宿
「ドキドキの夏合宿」なんて見出しをつけると、青春か!共学だといいことあるのかー?!とつっこみたくなるかもしれませんが、そこそこでも強い剣道部の夏合宿といえば、恐怖以外の何ものでもありません。
夏合宿が楽しみだなー!なんて能天気なことを言う剣道部員がいたとしたら、部員の中でもトップクラスの肉体的、精神的タフさを持っているか、すごい楽天家さんなんでしょう。
だいたいまだ夏合宿を経験していない1年生の時から、もうさんざん前情報として、夏合宿は超きついらしい・・と先輩たちから、またどこからか嫌というほど耳に入ってきます。
「朝早く起こされて、午前稽古、午後稽古と連続だから、めちゃくちゃきついらしいよ・・・」
「先生も先輩も鬼のように怖くなるらしい・・」
「夜中合宿所から逃げ出した奴もいるらしい・・・」
「稽古でぶっ倒れて、別室で寝かされてたなんて普通らしい・・・」
「稽古がきつくて飯がのどを通らないらしい」
「去年は先生の虫の居所が悪くて、かかり稽古を延々とやらされたらしい・・」
などなど、語り出したら終わらないぐらい(汗;)
それはもうビビったもんでした。
実際の夏合宿は天国と地獄
で、実際の夏合宿ですが、1年生、2年生、3年生では、もうそれぞれ感じ方が全然違います。
1年生は、やっぱ本当にきつかった!!と実体験の中で嫌というほどわかるわけですが、体が慣れてきた合宿の中盤あたりからは、夜の合宿所はやっぱりちょっと新鮮で楽しかったりします。
夏の夜ですからね。
布団かぶりながら恋バナやら、ちょっと女子部の風呂のぞいてこいと先輩言われ、盛り上がったりとか、まぁ楽しいシーンもあります。
ただ初めて先輩と風呂に入った時はちょっと嫌というか、今ではおもしろ話ですが、
まぁアレです。
風呂で体を洗っていたら、坊主頭にいきなり「ちょんまげ!」とか言って頭の上にちん〇〇をのせられたり、
「お前のでかいなー!」
とか言われたり、
ある奴は、
「こいつはちっちぇ!、超ちっちぇ!」
とか先輩に言われて、
「ちっちゃくないっスよ!先輩のがでかすぎんですよ!!」
とか本気で反論してて皆爆笑してたり。
自分も心の中で「小学生か!マジ勘弁してほしい!」とつっこみながらも、けっこうわいわい楽しくやってましたね。今でもよく覚えてます。
今思うとこれも青春だなと(笑)
私のいた高校の合宿所は鉄筋コンクリートの綺麗な建物で三階建てだったのですが、涼しい夜中に二階の窓開けて同期の友達と飲んだジュースとかめっちゃうまくて、ただ普通に話しをするだけで、楽しかったですね。
これで女子部の方にかわいい好きな子でもいればもっと盛り上がったのでしょうが、私の代と先輩の代は女子部は合わせても10人もいなかったので、その辺はちょっと残念でした。
(こんなサイトやってる自分もその頃は純情真面目な男だったので合宿中に女子がどうとかほとんど考えなかったですね・・・。同期の中には女子風呂のぞくことに命かけてた奴がいましたが・・w)
地獄の稽古
しかし夏合宿の稽古は本当にきつい。
早朝起きて校庭の外を何周も走り、素振り、早素振り。
そして朝飯を食って、1時間もしたら、もう朝稽古を2時間ほどやりましたかね。
今ではもうよく覚えてませんが。
そして昼飯を食って1時間ほど休んだら、また午後の長い稽古。
この時が一番キツイですねー。
本当にきつい。
午前中だけでも相当疲れたのに、まだ午後の長い稽古があるってのがすごいわけです。
午前中でへばった時なんか、「本当かよ・・。本当にやるのか・・?」
なんて思いながら怖る怖る道場へ行くのですが、もちろんそんな生徒の心などどこふく風。
先生は容赦なく、楽しんでるかのように稽古メニューをバンバン打ちだして生徒をしごきます。
その時のかかり稽古や地稽古は本当にきついですね。。
もうきつすぎて、わけわかんなくなってきます。
地稽古では先輩も怒っているようで狂ったようにかかってきます。
で、こっちも負けじと狂ったように立ち向かいます。
社会人の皆さんも思い出してみてください。
思い出しただけでも、「おえっぷ!」となり、もう二度とあれはいいや・・と思うほどでしょう。
実際、夕飯はのどを通らないことがよくありました。
そんな時でも同期で、後に大将と副将をやる二人は、平気でバクバク飯食って、特に副将の奴はご飯にもしょうゆやらソースやらかけて5杯ぐらい食ってましたね。
あいつらどうかしてる・・・(汗;)と私は信じられない面持で見てました。
「ちゃーらー、へっちゃらー。頭からっぽの方がー、夢詰め込めるー!」なんてアニソンがありましたが、「頭からっぽの方がー、腹詰め込めるー」の間違いだろ?
とか時々当時を思い出すと考えちゃいます。
とはいえ、結局剣道は、あるレベルに達するまでは技よりも力や体力がある方が基本的に強いので、三年時には二人とも私より強くなりましたね。
すごい思い出
これはいつか自分で1コマ漫画風にイラスト描いて、また別の機会に記事として書こうと思うのですが、その夏合宿で最後となる3年生の時、すごい強烈な思い出となる出来事が起きました。
夜中、みんな寝ないで布団の中でいつまでも雑談してたんです。
そうしたら見廻りにきた先生が突然キレて、「お前ら全員校庭に出ろー!!」とか言い出しました。
それも竹刀持って!(汗;)
みんなビビりながら、校庭にでたのですが、夜中の真っ暗な中、どうしたと思います?
延々と校庭のトラックを走らされました。
正確にはわかりませんが、たぶん2時間ぐらい走ってたと思います。
途中で確か一年、二年はもういい・・と言って許されました。
しかし三年生は、いつまでも走っててもやめさせてくれず、先生は遠くの方で仁王立ちで身じろぎもせず、ずって見てました。
でも後で聞いたら、どうやら立ったまま寝てたらしいのですが・・(笑)
私はもう1時間ぐらい走ったらもう「死ぬ・・・、あかん・・」と思い、先生を何度もみましたがこっちをにらみつけるように立っていて、一向に許されそうにない様子・・。
ついに、走れなくなって、もう仕方なくノロノロと歩いてました。
周りをみると、他の数人もとっくに歩いていたのでもういいやと。
そんな状況下、信じられないことに同期の部長と副部長の二人は延々とまるで双子のようにぴったり並んで走ってました。
なぜあんなに走り続けられたのか・・。
後から聞いたら、どうやら二人とも一応部長と副部長なので、なんで先生があんなに怒ったのはわからないが、とにかく責任を感じてお互い意地になってはりあって走っていたと言ってました。
最後まで二時間近く走りぬいたこの二人もすごいのですが、それにしてもあの時の出来事は本当にすごかったなーと思いだしてもなんと言ってよいやら。
夏のホラーか、トワイライトゾーンですよ。
だって暗闇の校庭でトロトロ走ってると背後からヒタヒタ音が聞こえてきて、それがスタスタという音になり、気が付くと二人がどーんと自分を追い抜き、黙って並んで走っていくのですから・・(汗;)
最後に
今はもう大人になったなつかしい思い出だと語る人も、高校剣道部時代の夏の合宿は忘れられない思い出だと思います。
強豪校となると本当に地獄の一丁目だったことでしょう。
管理人の高校はせいぜい県でベスト8程度でしたがそれでもきつかった・・。
2年生の時は、もう夏合宿の日が近づいてくるのが怖くてしょうがなかったです。
もう数日前になると、もう行きたくない度MAX!
そして前日の夜に、恐怖におびえながら腹を決めるわけです。もう行くしかないと!(笑)
皆さんの夏合宿はいかがでしたでしょうか?
ちなみに聞くところによるとOBとなって合宿に訪れるのは、生徒を好きなようにしごけるわ、夜顧問の先生と酒を飲んで現役時代をネタに盛り上がるなど、大変楽しいそうです。
稽古は地獄ですが、その合間に訪れる瞬間は、あとで振りかえれば二度と訪れることのない宝石でもあり、天国のような青春の一コマもあります。
地獄と天国が入り混じる剣道部の合宿所。
現役の皆さんはこれも生涯二度とない青春の貴重な一コマと思って耐えてください(笑)。
社会人の皆さんは同期と久しぶりに会って飲む時は、ぜひ夏の思い出として昔話に花をさかせてください!