謎の坊主問題について考えてみる
剣道部に限ったことではありませんが、中学、または高校で、入部する際に一年生の間でよく話題になるのが、この坊主問題。
先日春一番が吹いた時、来月はもう4月で剣道部も新入生を迎える季節なんだなーとふと思うと同時に、このテーマを思いつきました(笑)
入部条件
武道では、伝統で、部全体かもしくは1年の時は坊主にしなければならないといったケースがよくあります。
特に強豪校などは多いですね。
この決まりがある学校はきびしい事にこの条件をのめないと入部できず、よほどの事情がない限り、例外は認められません。
この入部条件ですが、ほとんどの学校で部活については部の顧問である先生に一任されているため、その先生の指導方針によります。
私の高校時代から30年ほど経った今でもこういった慣習は根強く生き残っているようで、どの剣道マガジンを見ても、坊主の選手は少なくないようです。
最近の「剣道人」の表紙を見ても、四連覇を成し遂げた高校剣道界最強の九州学院が全員坊主ですね(笑)。
管理人の経験より
私のいた高校の剣道部でも、特に強豪でも有名でもないのに、「1年生は坊主」という決まり事がありました。
当時はまだ特に武道たる柔道や剣道はごく普通に「1年は坊主」という時代でしたし、幸い「2年生からはスポーツ刈りまでなら伸ばしても良い」ということだったので、反抗するのはすぐあきらめて入部することに。
中学時代、学校の方針でずっと坊主だったので高校になったら伸ばしたいという欲求はかなりありましたが、まぁ元から伸ばしている人よりは当然抵抗感はなかったですね。
しかし同級生は皆すごく嫌がり、この条件のせいで仮入部体験を1週間ほどした後に「正式に入部する時は絶対坊主にしなければいけない」と聞いて3~4人は辞めてしまいました。
坊主歴が長かった私は、「そんなに抵抗あるかなー・・」「剣道やりたいと言っていたのに、そのぐらいのことであきらめるなよ・・」などと思っていたのですが、よく考えればそう思ったのも私は元々坊主だったからであって坊主じゃなかった人間からしてみれば無理らしからぬこと。
今思えば、高校生ともなれば異性の前でかっこよく見せたい青春どん中の時期。
また自分を他とは違うと個性を主張したくなるお年頃。
休日には、お気に入りの私服で学校とは違う自分を友達やできれば学校の女子に見せたいといった欲求もあり。
なのに坊主だと洋服に合わせるとなると何を着てもイマイチ見栄えがよくない。
坊主に抵抗があるのは至極当然ですよね。。
ただその時は、せっかく仮入部でせっかく仲良くなった奴が、そんな理由でこれからいっしょに剣道ができないとなると、めちゃくちゃ残念で悔しく、そんなくだらない条件はなくすべきだ!とも思いました。
なぜ坊主にしなければいけいのか?
だいたい拒否する側の理屈としてよく聞くセリフが、
「別に坊主にしたからって剣道が強くなるわけじゃないだろ?」
というもの。
確かにその通りですよね。
じゃあなんで強制的に坊主にさせるのか?
私が中学、高校と剣道を教えていた先生方は、自分が剣道を教わっていた頃は戦後それほどまだ経過していないため軍人教練を経験した剣道の先生に指導を受けることが少なくなかったと聞いています。
そのため時代的にも当時剣道に限らず武道の修行に入る際は、坊主にするのが至極当たり前、文句を言うとぶっとばされるという雰囲気だったとか。
歴史的背景としては1894年(明治27年)日清戦争後、軍国主義的な教育が高等小学校や旧制中学において行われるようになり、軍事教練が盛んになってくるのと同時に、丸刈りが定着していったそうです。
また日本の伝統としては、まず道を学ぶとき、最初はまったく無知であり、未熟なのだからまずはその事実を謙虚に受け入れ、その精神から徹底して鍛え直すという考え方で、
「余計なことはするな、考えるな」⇒「余計なことをせずにすむよう、考えなくなるように」ということで坊主にさせていたようです。
他にも戦時、戦後は、男が髪の毛を毎日洗うなんて有り得ないことであり、髪の毛を伸ばすこと自体が不潔で不衛生だったため、坊主にするのが一番衛生的でもありました。
つまり修行に入る前は、僧侶と同じで、まずは身を清めると言いますか身綺麗にするという観点から坊主にする慣習があったのではないでしょうか。
確かに坊主にすると思春期に特に大きい頭髪の乱れを気にする必要などなくなるし、ヘアスタイルの維持に神経を使う必要もなくなります。
実際、他人から見たら、ヘアスタイルを気にしている男子を見るのは非常に見苦しい。
武道をする人間からしたら虫唾が走るほど嫌悪感を示す人も少なくないでしょう。
実際自分も公衆トイレで、鏡の前で女のごとく、いつまでも細かく何度もチェックしている男をみるとめちゃくちゃげんなりします。
確かにヘアスタイルどころか面をつけた後なんてもう髪の毛めちゃくちゃになるわけで、先生にしろ先輩にしろ、いちいちそんなもん気にするぐらいなら剣道なんてやめちまえと言いたくなる気分になるでしょう。
ですので、坊主にすることで一切の邪念を払うという意味はおおいにあるのではないでしょうか。
剣道は日本古来からの文化とも言える武道なので、今後も坊主にする慣習は残っていくでしょう。
坊主にすることで、これからは剣道に専念してきびしい修行をする覚悟をしてもらいますよという暗のメッセージはひしひし伝わってきますし。
特に強豪校においては、生徒自身もその強さ、精神性を継承、維持したいという想いから今後も残っていくと思います。
おそらく「坊主にしたからって別に強くなるわけじゃないだろ?」の指導者側の答えとしては、
「強くなるためにはきびしい修行が必要」
↓
「修行に気持ちの面から専心してもらうためにはヘアスタイルなんて忘れてもらいたい」
↓
「坊主にするぐらいの覚悟がなくて、きつい修行に耐えられるか!」
という論法だと思います。
まぁ論理的に正しいかどうかって言えば、一見上記論理的に見えて全然そうじゃない(笑)
「坊主にして強くなるか?」⇒「強くなるかどうかについては答えていない」ので。
要するにすんなり上記の論法でも納得できるかどうか、納得できなくても剣道をやることをあきらめるか、あきらめきれないか(それほどやりたいか)ということになります。
まぁ私はなんか上の論法は気持ちとしてはわかるけど論理的には釈然としないが、剣道は続けたい(やりたい)なと思ったので入部を決意しました。
要するに最終的には、坊主にこだわるより剣道やりたいかやりたくないか、その気持ちの問題だけなんですよ。
坊主は強豪校の証?
いつだったか社会人になってから、サッカーの全国大会を見ていた時、あることに気づいたと言いますか、改めて再認識したことがあります。
サッカーでは、一昔前までは国見という高校がよく全国大会の決勝に上がってきたのですが、サッカー界では珍しく彼らは皆坊主でした。
サッカーなのになんで坊主にする必要がある?
と思ったのですが、大会とかに行くと余計思うことで三年生まで部全体が皆坊主だと、なんかとても強そうに見えます(笑)。
みんな坊主にすると本当にすごい迫力。
坊主軍団となると、やはり相当その指導や練習は相当きびしいのだろうな・・・という印象を他校に植えつけられます。
甘えなど一切許されないという雰囲気が静かに伝わってくるのですよ。
「なめられない」ということも勝負前に勝因につながる大事な要素です。
卓球漫画で有名な「ピンポン」という映画にもなった松本大洋の漫画を読んだことがありますか?
その漫画には海王学園高校卓球部という常勝を旨とする全国大会でも決勝まで残るのが当然という強豪校がでてくるのですが、卓球なのに部員は全員坊主!
その登場シーンがまた怖いというかさすが強豪校という印象を十分に与えていました。
こちらは映画の実写版ですが、実際迫力がありますね(笑)。
ちなみに幸い剣道マガジンをみると今でも茶髪や派手な髪型をした人間見当たりませんが、それは全国レベルの強豪校しか取材されないからであって、弱い高校などでは今ではひょっとしたら存在しているのかもしれません。
赤毛や金髪頭で剣道をしている奴なんてこれからも見たくもありませんけど、海外の剣道人口と、日本でもハーフやクォーターの人も増えてきていますし、サッカーのワールドカップでの以前の日韓開催時のチームメンバーは金髪、赤毛と何人かわからない様相を呈していたので、あと10年ぐらいしたらちらほらでてくる可能性もないとは言えませんね。
まぁ仮に赤く染めた頭や金髪頭で剣道しても審判の心象悪く旗が上がらない上に、強豪校の坊主軍団に目の敵にされること必至です(笑)
坊主のメリット
自分の中学、高校時代を思い出して坊主のメリットを思いつくままあげてみました。
ここであげたポイントは学生限定の話だと思ってください。
1.とにかく手間がかからない
手入れする必要なんてないですからね。
ブラシもいらないし、もちろんヘアスタイルを維持するためのヘアスプレー類も一切必要なし(笑)
2.金がかからない
これが一番のメリットかもしれませんね。
とにかくヘアカット代なんかで親からぶーぶー言われずに済みます。
3.髪型で悩んだり気にする必要がなくなる
ヘアスタイルって若い時は毎日気にして鏡を見ていろいろやるもんですが、今日は好きなあの子と話をする機会もあるのにって日にヘアスタイルが決まらないと
うきー!とかなります。
が、そんな悩みも一切なし!(笑)
4.夏は超涼しい
夏は本当に頭が涼しくて、バリカンを入れた後とかスカッとしますよ。
5.競技に集中できる
剣道は言うまでもなく面をつけますから、髪型を気にしてる人は稽古や試合前後でもう気がちって、またお手洗いなどでセットする無駄な気力と時間を浪費しますが、そんなことは一切なくなります。
存分に剣道に集中できます!
6.気合いが入る
いやもうね。
バリカン入れてスカッとするたびに気合いが入りますよ。
「よっしゃー!やるぞー!」って気持ちになります。
7.女子にかいぐりかいぐりされる
私の中学時代や高校一年生の時女子に言われました。
「なんか気持ちよさそう。触らせて~」といって女子数人にかいぐりされ、なんかモテているような錯覚を覚えていい気分でした(笑)
頭の形が良くて子供っぽい顔だと「かわいい」と言われることも。
また海老蔵みたいなイケメンで頭の形もよければいっそう目立つのでむしろ普通の髪型よりチャラく見えないせいでモテる人もいるでしょう。
8.人によっては強そうに見える
また体格の良い3人以上で肩いからせて歩いているとちょっと怖そうなので、人が勝手によけてくれます(笑)
坊主のデメリット
次にメリットに対して表裏一体的なデメリットも考えてみました。
1.手間がかからな過ぎて以前髪を伸ばしていた人はさみしいかも
女の子たちとグループで遊びに行くぜーって時に友達はヘアスタイルを鏡の前でびしっと決めているところで一人ショボーン、やることねー・・みたいな(笑)
2.理容室に行ってもあまり意義が感じられない
親が忙しい時とか「お金やるから床屋言ってらっしゃい」とか言われて自分でバリカン使ってやるのも面倒な時とかお言葉に甘えて理容室に行くのだけど、ぐいーんって高性能なバリカンだとあっという間にカットは終わる(笑)
特別なさっぱり感の喜びはその後の髭剃りぐらいで、お金がちょっともったいない気もする。
3.ヘアスタイルを変える楽しみがない
何かのイベントがあったり、好きな女の子に新しい自分を演出したい時とかあってもヘアスタイルを変えてイメチェンすることができない。
4.冬は頭が超寒い
慣れるとそうでもないですが極寒の地ではやばい時も。
超寒い時はまぁストリートファッションによくある頭にでかいヘアバンドまくとかおしゃれな帽子とか今はかっこいいのがたくさんあるので、そういったものをかぶれば問題なしですけどね。
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5.女の子と遊びに行くようなおしゃれなスポットではちょっと浮いてしまう
特に服を過度にファッショナブルにすると坊主頭に違和感が生じることも。
すごくいけてるデートスポットにはおしゃれなカップルがたくさん来ますが、そんな時一人坊主頭だとちょっと場違いな雰囲気を醸し出す人もいます(笑)
6.フケがでやすい人は頭をかくとやばい
私も高校時代フケが出やすかったので、ガリガリかいちゃうとフケがでちゃってやばかったです。
女子の前でそれやると「ぞっとする!」とか言われて超ひかれるので注意しましょう(笑)
7.女子ウケがいいか悪いかは人による。
人相や頭の形が悪いと女の子からの印象はよくない。
怖い人に見られる人もけっこういる。
それは逆に言えば強そうに見えるとも言えるので大会にはプラス(笑)
8.人によっては弱そうに見える
顔立ちがやさしい人や気弱な人は1年坊主みたいに見られて弱そうに見えてなめられる人もいるでしょう。
なので下がり眉の人とかなめられがちな人は、家から一歩でも出たらいつでも目元にキリッと気合い入れておきましょう。
最後に
さてどうでしょうか?
意外とメリットあることに気づいてもらえたのではないでしょうか。
社会人になると海老蔵みたいによほど似合う人や笑わすことが得意な人や味のあるキャラじゃないとあまりウケはよくないみたいなので、学生の皆さんは今のうちに坊主頭を満喫しておきましょう。
今は髪の毛伸ばしているけど、今年の春から坊主必須という剣道部の新入部員となる小学六年生、中学三年生、または大学でも剣道をやろうかと思っている高校三年生の皆さんは、坊主になって気持ちをリセット、心機一転し!さらに今より一段と強くなる=レベルアップすると考え、覚悟を決めてみてはいかがでしょうか?