剣道をやると喧嘩に強くなるか?

剣道は喧嘩に役立つかのイメージ

素朴な疑問

素手の場合

誰でも男なら、

剣道をやると喧嘩に強くなるだろうか?

ということについて、剣道を始める前や始めたばかりの頃ふと考えたりしたことはないだろうか?

強くなりたい!と思って剣道を始める人は多いだろうが、それは「精神的、肉体的に強くなりたい」というものであって、喧嘩が強くなりたくて剣道を始める人はほとんどいないと思う。

本当に喧嘩が強くなりたい人は空手かボクシング、または総合格闘技をやるだろう。

しかし実際、若いうちは喧嘩になりそうなシーンは日常的に転がっていて、実際に手に何も持っていない素手の状況下で、喧嘩になってしまった時、果たして剣道は役に立つのであろうか?という疑念は時々頭の中をかすめたことが誰しもあろうかと思う。

 

例えば、このサイトでよく例に出す漫画「六三四の剣」の主人公である六三四の父親で、「岩手の虎」と言われ全日本で優勝もする夏木栄一郎は機動隊に所属する警察官なのだが、非番の夏祭りの日の夜、つまようじ一本でヤクザ数人をたたきのめしてしまう・・なんてシーンがある。(コミックス1巻最後から2巻の頭)

この際、栄一郎は剣道の足さばき、体さばきで敵の攻撃を寸でのところで見切ってかわすわけだが、つまようじは敵の顔にキズをつける程度で敵を倒す時の最後の技は柔道だった(笑)。

昔の武士は武芸十八般といって柔術なんかもやっていたそうだけど、現代剣道に投げ技はない。

組み打ちなんていって竹刀なしで投げ合う稽古のシーンもその漫画にはあるが、それも普通今は練習したり教わったりすることはまずない(笑)。

なので、結論から言えば、竹刀や木刀を持たず素手の喧嘩においても現代剣道の技術(足さばき、体さばき、体当り、手刀)を使ってかなりの強さを発揮できるとしたら、相当の達人にならない限り、喧嘩の役には立たないと思う。

例えば、段位で言えば五段以上といったところか。

ただし、子供の頃から、腕力が強くて喧嘩慣れしている奴は、元から強いので、剣道をして体を鍛えるともちろんもっと強くなる(笑)

が、パンチやキックなどの専門的な攻撃技が身についているわけではないので、中級以上の格闘技経験者には苦戦するか負けてしまうだろう。

※ちなみに先述の漫画「六三四の剣」の主人公である六三四が幼稚園にいる頃、自分より年長組のボクシング経験者と喧嘩になって、素手でも剣道の技で勝ってしまうのだが、あれが通用するのは小学生以下ならではの話だと思う。

その時、六三四はすり足などの足さばきで相手の攻撃をかわし、竹刀代わりのものも何も持っていないが、両手で上段に構え、その構えから振り下ろした拳で相手の顔を打って負かしたが、ボクシング経験者に普通そんな攻撃はまず相手に当たらない。

木刀か竹刀を持った場合

木刀を持った場合、二段以上の腕前を持ち、敵を恐れない気力も十分あり、相手が格闘技経験のない不良であれば3人ぐらいいても半殺しにできるだろう。

三体一の喧嘩

大人のヤクザでも相手が素手の場合は二人ぐらい相手にしても、まず勝てると思う。

むしろ心配なのは過剰防衛。

木刀で本気で打てば、相手を殺傷しかねないからだ。

また木刀ではなく、竹刀の場合でも、相手が格闘技経験者でなければ1対1ならまず負けない。

竹刀で打つ

剣道の竹刀による打ち込みのスピードは常人の想像をはるかに凌駕するので、まずかわせない。

また竹刀も競技用として激しい打突に耐えられるよう相当しっかりできているので、服の上のみならず腕や首、顔など素肌を直接打った場合、すさまじい痛みが相手を襲う。要するにムチみたいなものだ。

実際、服の上からでも相当な衝撃を与えることができるので、二段以上の段位で、県大会ベスト16以上の腕前ぐらいあれば相手をボコボコにできる。

突きなんかくらわせば肋骨や鎖骨を折ることも難しくない。

 

竹刀でなくてもその辺にある丈夫な棒っきれ一つで、剣道有段者にとっては凶器になる。

とにかく棒状の得物さえもてば剣道有段者にとっては鬼に金棒、別人のごとく強くなれる。

棒っきれを持つ男性
まぁ何も持ってなければ体力があるぐらいで、ほとんど素人と変わらないのだが。。

 

※ここで、ネット上では「素手で効力を発揮できないなら格闘技としては意味なくね?」とか言っている人いるのでそれについての反論だが、例えば今の平和な日本で社会的正当性をもって格闘技術を行使できるのは警察官か自衛隊員ぐらいだと思う。

その場合、警察官は警棒を常備しているし、自衛隊員はライフルかもしくは拳銃を装備している。ライフルでなくても拳銃だって十分剣の代わりになる。間合いを一気につめて拳銃の銃底で相手の体どこでも打ち込めばその打突はすさまじい威力を持つからだ。

というわけで意味ないということはないと思う。

 

大事なこと

しかし大事なことは剣道は武道であって、喧嘩をするための技術ではなく、喧嘩という暴力を止めるためのもの。

 

そして何より剣士たる者、喧嘩をすべきではない

 

やるならいつでもやってやる!という覚悟と体中から気が発散するような気迫を持ちつつ、一歩も引かない凛とした気概をもって、しっかり相手の目を見て機先を制した話し合いで解決するのが正しい対処だと思う。

実際剣道をやっている人が喧嘩した話は私が中学、高校の時も他校含めて一度も聞いたことがない。

不良たちも剣道をやっている者には心のどこかで怖れがあるから、そうそうからんできたりはしないからではないだろうか。

 

とここまで結論的に含めて書いてきて、それでも実際本当にからまれて喧嘩になった時どうなのよ?と現実的な答えがどうしても欲しい人には管理人の経験から自分なりの答えを出してみた。

 

現実に剣道二段の腕前は喧嘩の役にたったか?

 

過去の喧嘩の経験

私には、覚えている殴り合った喧嘩の経験なんて小学生の頃1回中学生の頃1回の計2回ぐらいしかなくてその時いずれも相手に殴り掛かられて、仕方なく対応。こちらも何回か殴り返し、こちらも少し殴られて我慢して終わったぐらいの経験しかなかった。

普段温厚な性格であったが、元から正義感が強かったので、いじめっ子などには強い怒りを持っていたのと、いつでももし自分が的になってやられたらいつでもやり返してやるぐらいの気合いは常にもっていた。

そんな自分は幸運にも一番血気さかんな高校時代、不良も若干いるにはいたが比較的かなり平和な学校だったので、一度も殴り合いの喧嘩するまでに至ることはなく、ひたすら剣道部で汗を流していた。

そして大学時代はずっとヒップホップダンスにはまっていたので、毎週土曜はクラブに通うなど刺激的なシーンは多々あったが、この時も喧嘩に至るようなシーンはほとんどなかった。(クラブでやるのはダンスバトルだったし:笑)

そんな自分に本気で喧嘩せざるを得ない機会が訪れたのは、なんと社会人になってからだ。

奇しくもこの自分自身の疑念を晴らすべくして起こったのかわからないが、高校卒業とともに剣道から離れて十年ぐらいたったある日、その疑念の答えは明らかとなった。

社会人になって初めての本気の喧嘩

喧嘩のイメージ

私は30才の会社員だった頃。

毎日深夜まで会社で残業していて、その日も終電に間に合うよう急ぎ足でJR市ヶ谷駅に向かっていた時だった。

茶髪のロン毛、金髪のロン毛、そして短髪ツンツンヘアーの合計三人のホスト風の男の男が向かい側から歩いてきた。

私はただ目の前の三人を左によけて道の端から通りぬけようとした瞬間、ぶつかったわけでもかすってもいないのだが、すれ違いざまその内の一人、短髪ツンツンヘアーの男にいきなり横蹴りで腹をけられた。

「何すんだ?!」と怒って言うと、「なんだ?やるか?」と答え、ニヤニヤしていたので最初から喧嘩がしたくてからんできた様子だった。

真ん中にいた金髪の男がリーダーのようで、「俺らは手を出さないからいいぜ、二人でやれよ」と言い放ち、その場で1対1の喧嘩が始まった。

というわけで自分は急に喧嘩するはめになったわけだ。

大人になって初めてのまともな本気の喧嘩である。

相手は自分よりも背が高いとはいえ、スリムのバカっぽいヤンキーの若造だったので、三人いても全然びびっても怖くもなかった。

こっちもカッとなって急に始まった喧嘩だったので、勝てるとか負けるとか何も考えてなかった。

ただ自分はわりと冷静にファイティングポーズで、しっかり間合いをとりながら、パンチやキックを出した。

相手も警戒しながらパンチやキックを出すのだが、かする程度で、なかなかどっちも当たらない。

相手がつっこんできたのでその時体がぶつかってもまたすぐお互い離れて、似たような状況を繰り返した。

その時、剣道で覚えた足さばきなんて出てこなかった。

ただ相手のパンチや蹴りが届く間合いだけは気をつけていたのでそれが当たることもなかったが、こちらのパンチや蹴りも当然そんな攻撃の練習したことがないのでなかなか当たらない。

一応、相手の打突が当たっても効力をもつ間から離れていれば効かないという戦いの場における間合いの重要性を知識として、また体感としての感覚は持っていたので、その点については多少役立ったのかもしれない。

その内、お互いの攻撃が空を切るのに業を煮やしたのか苛立った相手がつっかかってきてそのパンチが私の胸あたりを打ち、顔もかすり始めたのでこちらも頭にきて思いっきりつっこんだところ、パンチや蹴りが少し当たって優勢になった!

いける!

と思った刹那、なんといきなり横にいた一番体が大きい茶髪のロン毛が横からタックルしてきたので、俺は地面に転がされてしまった。

するともう一人の金髪リーダーの奴も、手を出さないとか言っていたくせに、急にその約束を反故にして地面に倒れている私に蹴りを入れてきた。

そこへ茶髪のロン毛奴が上からおおいかぶさってきて、がっつり馬乗りになられてしまい、上から何度も殴ってきたので必死に腕でガードしたのだが、いきなり横から金髪リーダーと短髪ツンツンヘアーの奴に頭をサッカーボールキックされ、意識が飛んだ・・・。

あとはもうよってたかってボコボコにされ、マジで死にそうに・・(^_^;)。

三人にボコボコに

その時近くで大学生ぐらいの若い男性数人がいたのをなんとなく覚えているので彼らが警察を呼んでくれたのだろう。

後で聞いたがその三人はすぐに逃げたらしい。

気が付けば、警察官4~5人が倒れて意識朦朧の私を囲み、上から見下ろしていた。

その内の警官一人が、やたらと「名前は?」とか聞いてくるので、こっちは意識朦朧としており、まさに死にそうで答えられる状況じゃないのに、正直とても頭に来たのを今でもよく覚えている(苦笑)。

10数分後に救急車が到着してすぐ病院へ搬送。結果10日ぐらい会社を休んで入院。頭はばかみたいに腫れ上がって包帯ぐるぐる巻きにされ、大変な思いをした。

退院して警察に呼ばれて市ヶ谷の警察署で、刑事らしき人からいろいろ質問されたが、あの三人は未だに見つかっていないという。

たしか財布をとられたような気がするが、不幸中の幸いでたいしてお金も入ってなかったのだろう、その辺はあまり覚えていない。

 

結論

それにしてもあぶなく大学生ぐらいの近くにいた若い男性が警察を呼んでくれなければ、下手すりゃ本当に死ぬところだったので今でもその男性たちには感謝しております。

 

つまり結論として、やはり相手の攻撃をかわすことはできても、素手だとこちから攻撃する技術は持っていないので、同じぐらいの体格、筋力、体力であれば負けないながらも勝つのもまた難しいということ。

ただ、あの手を出さない約束をヤンキー二人が最後まで守っていて1対1の状態であれば勝っていた可能性は高いと思う。

あの短髪ツンツンヘアーの男、力もたいして強くなかったので(笑)。

自分の子供の頃の過去二回の喧嘩もそうだったのだが、自分が優勢になると追い込みのパンチとか打つ気がなくなる方(SでなくM気質だから?)なので、おそらく終盤で疲れてきたしやめようや・・と言って終わらせたと思う。

無論、喧嘩の経験がかなりある気の荒い人や全国大会レベルの猛者の方なら、体さばきや体当たりをかまして簡単に勝てるかもしれないが、私のように本気の殴り合いの喧嘩をほとんどしたことがない人間には、剣道の技術を素手の喧嘩に活かすことはこの経験上、無理があると言える。

 

しかしもし社会人になってもその頃剣道を続けていて剣士としての自覚があれば、果たしてその時自分は軽々と喧嘩をしてしまっただろうか?

という想いはある。

 

3対1なら逃げろ!

 

その時の経験を退院して職場復帰した日に寸止め派だが三段を持つという空手有段者の人に話したらこう答えた。

「空手を相当やってる自分でも三人相手だと絶対やらない。なぜなら三人だとまず勝てないから。プライドなんかより身を守る方が大事! スキを見て即効で走って逃げるな!」と笑顔で言っていた。

この記事を読んだ方は、この意見を何かあったとき、ぜひ今後の参考にしてほしい(笑)。

確かに、有名な大人気の格闘漫画「グラップラー刃牙」で、あのヘビー級世界チャンピオンだったマイク・タイソンをモデルにしたキャラが、作中、三人の並の格闘技経験者にボコボコにされるシーンが出てきて、相手が三人もいると例えヘビー級世界チャンピオンでも連携して攻められたらまず勝てないことを解説していた。

あとつけ加えるなら、あのリーダー格のヤンキーが手を出さないと言った約束を信じたのもバカだったな・・とということも学んだ。

奴は、仲間が勝つと信じていて、仲間が勝つから手を出さないという前提での話しをしたにすぎなかったのだろう。

考えてみりゃそりゃそうだ。

不良なら、仲間がやられている状況になれば前の約束なんて簡単に反故にして助けるに決まってる。

友達は山ほどいるが、その中に一人も悪い奴がいなかった自分にはそういうことが経験上なかったのでわからなかった(笑)

結局私はその時の経験が元で、その数年後(36歳頃)極真空手を3年ほど学ぶのだけどその話はまたいつか。

自分はラッキーだった

今でもあの時喧嘩をしてしまったことを後悔してはいないけど、大学生らしき若い男性たちがいなければはたして自分はどうなっていただろうかと思う。

社会人になって喧嘩をするのはやっぱりアホですわ(笑)。

喧嘩はできるだけ避けた方が良いことは確か。

もし相手が殴り掛かってきてどうしても喧嘩せざるを得ない状況になった場合は、とにかくかわし続けて相手が疲れてやめてしまうのを待つか、こちらの攻撃がパンチなりキックなり二~三発入って多少効いて相手がよろけたら、もうすぐにその場を走って離れるのがいいと思う。

それが私なりの結論。

スポンサーリンク
剣道は喧嘩に役立つかのイメージ