さて、今回は来月の4月から新入生となる10代の男性諸君に向けたテーマ。
おそらく部活を何にするかきっと悩むと思う。
悩むけど仮入部というお試し期間は楽しくもあり。
そんな時、体育会系の部活ならメジャーな野球、サッカー、バスケなどがまず候補リストに上がる人は多いはず。
そこに剣道も捨てがたいなーと思っている人がたまたまこの記事を読んでいるとしたら、そんな人に聞いてほしい話。
野球、サッカー、バスケを選んだ時のデメリット
日本で最も人気があり、メジャー系と言われる三大スポーツと言えば野球、サッカー、バスケではないだろうか?
テニスやバレーはそれよりはちょっと人気落ちるかなーと思ってここでは除外。
さて、この三つ、何が問題かっていったら、私が考えるのは以下の4つ。
(1)人数が多いからレギュラーになるのが大変
(2)実力のみでレギュラーになれるとは限らない
(3)団体競技だから試合が楽しくないなど不満足なことに終わることが多い
(4)チーム仲が悪くなると下手すると最悪な結果に・・
では一つ一つなぜそう言えるのか答えたいと思う。
(1)人数が多いからレギュラーになるのが大変
まず (1)は、言うまでもないことだろう。
かくいう私はその中でも小学生時代は少年サッカー団に所属していて非常にサッカーが得意で大好きだった。
なので、中学に入ったら、サッカー部も当然仮入部で行ってみたのだけど、その時の衝撃といったらない。
1年だけで20~30人ぐらい、めっちゃいる!(笑)
仮入部なので少しは減るだろうと思ったが、その時友達に聞いたら「いやそんなに減らないらしーぜ」とのこと。
マジか? (汗;)
と思った。
この中でレギュラーに勝ち残るってどんだけ熾烈なんだよと。
自分もサッカーのテクニックにはそれなりに自信はあったが、仮入部初日ですぐ自分のレベルを悟ることに・・。
自分より上手そうな奴、体力ある奴めっちゃおる!(汗;)
レギューラーになれず公式試合に出れないで三年間を終わるなんて絶対嫌だったので、これはどうしたものかと。
そんな時母親から「お前は、けっこうわがままで人に合わせるのは得意じゃないから、チームプレーより個人技の方が向いてると思う。」
と言われ、仲の良い友達もたくさんいて、口喧嘩でさえ友達とはめったにしたことなかった上に学級委員などもよくやっており、自分では協調性は高いと思っていただけに「わがまま」と言われたのは非常に心外だった。
憮然とした私に、
「剣道なんてどう?」
と薦められ、全く意外なジャンルだったので渋っていたのだが、近所の友達連中も剣道部面白そうだから行ってみようということになり、仮入部で行ってみるとほとんど全員未経験の上、しかも9人ぐらいしかいなかった。。
これならレギュラーになれそうだなと結局入部して1年後普通にレギュラーになれ、地区大会でもいい成績を修められたし、どんどん剣道にハマって熱中していったので後になって振り返れば母の指摘は当たっていたと思う(笑)
なので、熾烈なレギュラー争いの結果、結局レギュラーになれないまま三年間終わるなんて悲惨な目に合いたくない場合はやめた方がいいかのではないだろうか?
ちなみに自分の兄貴はまさにそのパターン。野球部だったのだけど運動能力は中の上だったのに中学時代一度も公式試合に出れなかったそうでやっぱりいい思い出ではないと言っていた。
(2)実力のみでレギュラーになれるとは限らない
さて、これは経験したことがない人には何を言っているのか意味がわからないのではないだろうか。
団体競技って奴は言うまでもないことだけどチームプレーが大事。
なぜならチームプレーがうまくできていないと、点が入らず試合に勝てないから。
チームプレーが一番大事ってことは、どれだけ自分がうまくてもチームの和を乱す奴、自分勝手なプレーに走る奴、うまくチームメイトのレベルに合わせられない奴は選ばれないことがけっこうあると言うこと。
小学生の時に一度でも「オレの方が上手いのに、監督はなんであいつばっかり試合に出すんだ?」と思って歯ぎしりした経験がある人にはわかると思う。
例えば、野球の場合、ショートで二人ポジション争いをしていたとしよう。
自分の方が守備のテクニックは上なのに、なぜかもう一人の方がよく先発で試合に使われる。
その理由は、そいつの方がセカンドの選手と仲がよく、かつ守備においてうまく連携できるからだったりすることがある。
サッカーやバスケもしかり。
自分よりも他人を活かすことが得意な奴もいるのだ。そういう事は小学生や中学生の頃はまだよくわからないんものなのだけど。
他にも雰囲気を盛り上げるムードメーカーだったり、何らかの存在感において秀でたりしていて選ばれるなんてこともよくある。
そうなると本当に面白くない。自分の方が競技のテクニックは上なのだから。
(3)団体競技だから試合が楽しくないなど不満足なことに終わることが多い
これは、例えばサッカーで、ミッドフィールダーをしていて、自分はいいプレーしてフォワードにわんさか良いパスを回したのに、フォワードがへまばかりして結局点が入らず、試合には負けてしまった場合のことなどを意味している。
自分はめちゃくちゃ努力したにも関わらず、自分以外の人のせいで臨む結果が得られないことが多々あるということ。
これは私が小学生時代に少年サッカーをしていてすごく思ったことだ。
その時私は右のウイングだったのだが、絶好の場所にパスを上げてフォワードの奴がキーパーと一対一なのにゴールポストの枠(わく)さえもはずすシュートを連発。
「何やってんねん、お前ー!」
って言いはしなかったけど、関東の人間なのに関西弁で心の中でつっこんでいた。。
なので、せっかく楽しみだった試合もいざやってみたら自分はベストのプレーができたとしても、試合はうまくいかなくて面白くない不満足な結果に終わることが多々あるのだ。
(4)チーム仲が悪くなると下手すると最悪な結果に・・
さらに良くない点として、チームメンバー同士の中がとても悪くなると、例え試合に勝っても誰かがチームメイトの文句言ってたり、大会で早い段階で負けるとさらに雰囲気は最悪になることもしばしば。
もしいじめなんてあってそれが自分に矛先が向かってきたなんてなるともう地獄である。
試合や練習試合でパスが全然回ってこないなんてこともあるらしい・・。
考えるのも恐ろしいですな。
つまりは、チーム仲が悪くなってしまうと中学や高校の三年間がめっちゃ不満足な結果に終わる可能性も高いということだ。
上記に対して剣道を選んだ場合のメリット
さて上記の4つの問題に対して「じゃあ剣道はどうよ?」という問いに答えたい。
(1)よほどの強豪校じゃない限り、部員数少ないからレギュラーになりやすい
(2)ほとんど実力のみでレギュラーになれる
(3)団体戦もあるが結局は個人技の競技なので結果は自分の努力次第
(4)団体戦において部員同士の仲が悪くても個々が強ければ試合に勝ち進める
ということ、なんてすばらしい(笑)
(1)よほどの強豪校じゃない限り、部員数少ないからレギュラーになりやすい
県下で有名な強豪校だと当然一学年だけで相当数いると思うが、そんな中学や高校は九州以外ならかなり少ない。
またそれでも野球、サッカー、バスケほどの人数ではない。
野球の甲子園にでる高校の野球部や全国大会にでるサッカー部なんて、もう1学年の部員数で他校の部員数を超えたりする(笑)。
テレビで応援席とか見るともう観客席の一ブロックを占めててあれはもう学校の部活として異常(^_^ ;)。
ベンチにさえ入れないって、なんやねんそれっ!ていつも思ふ。。
その点剣道はよほどの強豪校でなければ1学年せいぜい10人程度。15人ぐらい最初いてもだいたい何人か辞めて2年になる頃には、10人以下ぐらいになっていることが多い。
レギュラーになれる確率も高いのだ!
(2)ほとんど実力のみでレギュラーになれる
これは本当。
なぜなら、個人技だから(笑)。
部内でときどき先輩後輩関係なく練習試合もやるので、誰が一番強いか強いか常にはっきりする。
そのため例え1年生でも常に2年生や3年生より圧倒的に強ければレギュラーにだってなれる。
剣道の団体戦は、普通の大会ならば5人制で、試合に出る順番によって「先鋒」「次鋒」「中堅」「副将」「大将」という呼び名で各ポジションがある。
このポジションで重要なのはぶっちゃけ「先鋒」と「大将」だけ。
勝敗は、勝った人の数で決まるが、それで決まらない時は全員の有効なポイントを決めた総本数で決まるので、ポジションについては野球、サッカー、バスケほど重要ではない。
「先鋒」は最初に勝つと一気に勝てる雰囲気が出てくるので、どんなタイプの相手でも対応でき、かつ気持ちが安定していて勝率の高い奴、そして「大将」は文字通り最後の砦って奴で一番強い奴がなる。
そのため「次鋒」「中堅」「副将」のレギュラーの三人は固定化されないで大会の度にこのポジションが変わることもよくある。
ただ「副将」はたいてい「副将」という呼び名もあってか「大将」の次に強い奴がなることが多い。
そうなると「次鋒」か「中堅」がたいていレギュラー争いのポジションになる。
例えば「次鋒」のポジションを二人の選手が争っていたとしよう。
大会前にどっちの方が強いか、部内の練習試合をしなくても毎日の稽古(練習)で、「地稽古(じけいこ)」という名の練習で試合のように戦うので、誰がみてもすぐわかる。
そのため弱い方の奴が大会で起用された時は、あきらかにおかしい・・と部員全員が思うので、監督も好き嫌いで選んでいるのかわからない謎の人選は早々できない。
もしあるとすれば、稽古での態度が悪いとか、稽古をよくなんだかんだと理由をつけてサボるとか、皆が見ていないところで手を抜いているとか部員の皆がなんとなくわかるケース。
要するに精神的に明らかに未熟な奴だけは問題外だったりする。
剣道で言うところの実力は、礼儀込みなので。
(3)団体戦もあるが結局は個人技の競技なので結果は自分の努力次第
先述したとおり、剣道は団体戦とはいえ、チームプレーみたいな連携して勝利につながるような部分は、精神的な部分を除外すれば全くないので、自分が自分の対戦相手に勝つかどうかは、100%自分次第。
それにたとえ1回戦でチームが負けても、自分だけでも二本勝ちとかで(普通三本勝負)圧倒的勝利を収めればかなりの満足感が得られる。
例えば今年の正月、私は実家に帰省したのだけど、兄貴の息子、つまり甥っ子が県下でも剣道部が強豪として知られる高校の先鋒をやっていて、最近やった県大会のビデオをその時見せてもらった。
三回戦まで進み、チームは負けたのだけど、甥っ子は三試合全勝していて、やはり本人はその点についてかなり満足げだった。
特に三回戦の相手は県下で1、2位を争う全国レベルの有名校だったので余計に。
また例えばコミュ障か?と思えるほど無口で部内で超浮いてたり、嫌われてても部内で部長の次か三番目ぐらいに強ければ大会の団体戦に出してもえらずとも、だいたい個人戦に出してもらえる。
剣道の個人戦なんて面をつけている上眼前の敵に集中していれば、周囲の応援なんてほとんど聞こえないので、味方が全然応援してくれず観客全員敵側の応援みたいなアウェー感満載の状況になっていようが全然気にならない。
とにかく実は超ひとでなしの人間嫌いで内心恐ろしいこと(こいつブッコロス!とか)考えていたとしても、見た目の礼儀作法さえ試合中きっちり守っていれば、日本一にだってなれる。
このように自分の努力が試合の結果にダイレクトに結びつくのが剣道のとてもいいところ。
報われない努力はない!と固く信じている人はぜひ剣道をやってみてほしい!
(4)団体戦において部員同士の仲が悪くても個々が強ければ試合に勝ち進める
これはもう極論なのだけど、前述の(3)でだいたいわかっていただけたかと思う。
本当に個人技の世界なので。
例えば「注目の動画」ページに以前から載せている「梅ヶ谷選手の伝説の11人抜き」というタイトルの動画。
この大会は「玉竜旗大会」といって剣道の世界で有名な勝ち抜き戦の大会。
ぶっちゃけ、どんだけ負けててもたった一人が全員を倒してしまってもいいわけだ。
ただ実際やってみればわかるが、団体戦においては、部員同士の仲が悪かったらどれだけ部員一人一人が強くても、日本一なんてとてもなれない。
事実インターハイ団体戦で四連覇中の九州学院のメンバーはお互いが良きライバルとして「切磋琢磨」していて、とても仲が良いそうだ。
人間一人だけでは、本当の強さは手に入らない。
こんな人が剣道に向いているというかお勧めしたい
真面目な人、礼儀を身に着けたい人とかありきたりなことは今回は言わない。
これまでの論調、論拠を含めて以下の5ポイントに当てはまる人にはぜひ野球、サッカー、バスケをやめて「剣道」をやってみてほしい。
(1)どっちかっていうとわがままな人
(2)技や精神世界の探求、追求が好きな人
(3)実力主義が好きな人
(4)自分の努力がストレートに報われたいと思っている人
(5)武士が出る映画やドラマが大好きな人
(1)どっちかっていうとわがままな人
協調性は十分あっても、自分を犠牲にしてとか押し殺してまで勝利に貢献するとは好きではない。
野球ならピッチャーでなきゃ嫌だ。4番でなければ嫌だ。レギュラーでなければ嫌だ。
勝つためならヒット余裕で打てるピッチャーにも我慢してバントとか監督の言うことには黙って従わないとダメだとか本当は嫌だ。
言いたいことは言わなきゃ気が済まない。
なんて人は剣道をやろう!
(2)技や精神世界の探求、追求が好きな人
「達人」と言われる人に憧れる。
自分も何かを極めたい!
そんな気持ちを少しでも持っているなら、本当に剣道はお勧めだ!
またスポーツは歳取って体が衰えてくるともう若い人には勝てなくなり、語れることも少なくなってくるが、武道の世界は不思議なもので歳をとって初めて見えてくる境地や強さがある。
漫画の話ではない。
現実にそういう人が何人もいたのだ。
合気道なら塩田剛三。
剣道で映像記録が残っている人で言えば、持田盛二先生だ。
80歳を過ぎても稽古を続け、現役選手を寄せ付けなかったといわれている。
とても信じられないと思うので、70歳台の映像をご紹介しよう。
死ぬまでやっても極めつくすことはない。
それが武道の世界。
(3)実力主義が好きな人
これまで述べたとおり、剣道は個人技であり、勝敗は明確につく。
団体戦のポジション争いで実力伯仲している時は、監督は交互に近い形で使ってくれるだろう。
また試合にはもちろん「引き分け」もあるのだが、それは本当に実力が伯仲している時だ。
例えば野球ではピッチャーが打者を敬遠して勝負を避けるなんて卑怯ともいえるずるい手段があるが、剣道ではほとんどない。
あったとしても審判から注意を受けるし、注意までいかなくても審判の心象が悪くなって1本が認められにくくなることもある。
(4)自分の努力がストレートに報われたいと思っている人
もう十分にわかったと思うので、もう細かいことは言わない。
自分の実力を十二分に発揮して、自分の努力に基づいた「納得のいく結果」を得たいなら「剣道」をやるしかない!
(5)武士が出る映画やドラマが大好きな人
これを最後に、つけ加えたい。
宮本武蔵、新撰組といった日本にはヒーロー的な有名な武士がたくさんいる。
別に有名でなくてもなんでもいいが、日本の武士がでてくる映画やドラマが大好きだ!
彼らにとても憧れるという人はぜひ剣道をやってみてほしい。
自分が強くなって大会でも上位にいくようになったら、まるで彼らに近づいたような気分になってとても誇らしく、自分の心に自信が満ちてくるからだ。
坂本竜馬が好きという人にもぜひ。
彼はほとんど刀をぬかなかったとされているが剣術の腕前は相当なものだったそうな。
剣道が強い人は本当にかっこいい。
女性だけでなく、男も憧れる存在だ。
そんな剣道、ぜひやってみよう!