目次
全国大会ってどんな感じなの?
さて今回は、先日の27日、28日と行われた第26回全国高等学校剣道選抜選手権大会に行き、実際初めて生で見た全国大会の印象についてまとめてみました。
全国大会が行われた場所
今回全国選抜大会が行われたのは、愛知県の名古屋市に隣接する春日井市というところです。
まずは東京駅から新幹線で2時間50分ほどかけて名古屋駅に到着!
名古屋駅周辺はかなり都会化しており、東京の新宿という都心に住んでいる私でも20年前の名古屋に比べたら東京と全然遜色ないと思えるぐらい驚くほど発展していてびっくりしました。
上記の写真は、名古屋駅から見た風景です。
またどうせ名古屋駅周辺だけだろうと思ったのですが、名古屋駅からしばらく電車で走っても大きなマンションやビルがたくさんあり、
「剣道の全国大会っていったら武道館だろ・・。なんで田舎でやるんだよ・・。」
と正直心の中でブータレてただけに、ここで謝っておきます(笑)
「すみませんでしたっ!」
名古屋駅から電車で20分ほど行った先の春日井駅は、新しくできたばかりのように大きくて綺麗でした。
もう試合開始の午前9時を30分以上過ぎていたのでバス待ちはやめ、ここからタクシーで13分ほど行った先の春日井総合体育館へ到着!
どーん!
どどーん!
よっしゃー!
ここで間違いないですねー! やほーい!
春日井駅にあった大きなのぼりにも「剣道のまち 春日井」というコピーがあったので、市がそれで売っていきたいのであれば今後も毎年引き続きここで選抜大会が行われるのでしょう。
さすが全国大会を行う体育館だけあってでかいです!
初日なのでたくさんの人が押し寄せており、びっくりしたのが入口付近には場所取りのためか前日から入口前に泊まり込みしていたらしい人のテントやらシートがありました。
開会式はなんと午前8時と早朝ですから、考えてみれば無理もありません。
私は早起きが苦手なので早々にあきらめ、試合開始は午前9時からなのでそこに照準を合わせてました。
結局タクシー待ちなんかで10分ほどロスしてだいぶ到着が遅くなってしまいましたが・・。
全国大会初日の印象
さっそく購入しておいた二日間通しで見れる1200円のチケットを取り出し入場。
選手や親御さん、関係者がたまっている通路から階段を上り二階の観客席へ。
ついにキターーー!
これが全国大会かー!
まぁこんな感じで二階の観客席が満席なのはもちろん観客席後ろの通路はかなり広いのですが、初日のため人でぎゅうぎゅうで先に進むのは大変でした。
前の方は雑誌などでおなじみの剣道界のおえらいさん方が座ってらっしゃる檀上が!
上の写真で、左側三つのコートは女子で、右側三つのコートでは男子と別れて、トーナメント2回戦まで激闘を繰り広げていました。
私到着した時は、すでに9時50分ごろでしたので、すでに1回戦はかなり進んでおり、見たかった九州学院対本庄第一の試合はすでに終わっていたかと思います。
それを気にするよりも眼前で繰り広げられる全国レベルのハイレベルな試合に見入ってしまいました。
全国大会を見に行こう!
昨日も書きましたが、格段に強くなりたいのであれば、全国大会を生で見るべきですよ。
「すげーな、オレとは違うな・・」と思わず、少しでも彼らの技術を盗むつもりでつぶさに見つめましょう!
彼らの動きを見つめると私が現役時代どう動くのがベストなのかわからなかった以下の点などが参考になりました。
・つば競り合いから一足一刀の間合いに戻す引き際はどうすべきか
・つば競り合いからどう動くのが次の1本のために有効なのか
・1本取るには、どういうタイミングで技を出すべきか
・どういう打突なら審判の旗が上がりやすいか、また逆に上がりにくいか
・間合いの詰め方、切り方はどうすべきか
・引き面はどのように打つべきか
・突きはもっと出すべきなのか
・全国レベルでは飛び込み面がどのくらいの間合いでも届くのか
などなど。
とにかく全国レベルになると中途半端な無駄な動きがない!
また彼らのレベルに近づくにはどれだけ筋トレや稽古をしないとダメか実感できますよ。
例えば、
なんであんな遠い間から打てるの?
と思ったら毎日欠かさずスクワット100回を二セットもやれば跳躍力も飛躍的に伸びて近づけますし、正面から逆胴を瞬時に振り抜く腕力に驚いたならダンベルがんがんいろんな方向から持ち上げましょう。
そしてあの緊張感の中、切れない集中力と勝負強さを身につけたいなら、常に自分より強い相手と練習試合や地稽古ができる機会を増やすことだと思います。
優勝校と1、2回戦敗退チームとの差異はあまりない
閉会の言葉で審判長が、「優勝したチームも1回戦で敗退したチームもそれほど大きな差はありません。むしろ僅差です。どのチームも今後の課題克服に一層努力、邁進してください」と言っていましたが、その通りだと思いました。
実際、代表選になることも多く、圧倒的強さで早々に勝利していくチームなどほとんどありませんでした。(審判長の言葉ではこの大会で三分の一が代表選だったとか)
私が大会を見る前に、1回戦で九州学院と当たった埼玉の本庄第一高校まず勝てないと思っていた試合ですが、あとでスコアを見てみると、なんと4引き分け1敗(それも1本負け)の接戦でした。
▼本庄第一高校スコア
男子の部 – トーナメント初日試合結果/グループB
トーナメント初日 1回戦 会場1 4試合目 九州学院(熊本県) 対 本庄第一(埼玉県)
お詫びに、現地入口で売っていた1枚900円(値段高ぇー!)もした本庄第一高校の戦いぶりが撮影された写真を2枚購入したので載せておきます(^_^;)
しかも本庄第一高校って5年前の選抜大会で決勝で九州学院に勝って優勝したことあったんですね。
で、ここで二回目の・・
すいません!(^_^;)
さらに女子も本大会出場していて三回戦まで進出(しかも代表選での負け)していました(汗;)
私の現役時代は、埼玉県では五厘刈り坊主軍団の埼玉栄高校が最強だったのですが、今はこちらの方が優勢のようです。
初日は試合結果を貼りだしてくれない
入口に以下のようにトーナメント表が貼りだしてあったのですが、初日はこれが最後までこのまんま(笑)
「これに試合結果を反映してくれてもいいじゃん・・(黒ペンで線をなぞるぐらいなんだから)」と思ったのですが、初日は終始このまんまでした。
私が思ったこのセリフをそのまんま背後にいた高校生女子二人組も口にしていましたよ。大会委員さん、検討お願いします!(笑)
総合体育館の中で皆どうしていたかというとスマホでネットの速報を見て、プログラムのトーナメント表に線引いてましたね。
(二日目はさすがに掲示板に初日の試合結果をトーナメント表とスコアで貼りだしていましたが・・)
会場内の込みようですが、敗退チームがじょじょに会場を引き上げていったので、午後4時ごろになったらだいぶ二階の観客席通路も移動しやすくなりました。
初日は私が総合体育館を離れた午後5時頃に最後の男子チームが二回戦の試合していたので、午後5時半ごろには全試合を終了したと思います。
私は名古屋駅に電車で戻り、名古屋駅から10分ほど地下鉄で行ったプールのような風呂があるラグジュアリータイプの大型カプセルホテルですっかり旅行気分を満喫して早寝しました(笑)
大会二日目の会場内の雰囲気
二日目も午前9時から三回戦の試合開始でしたが、取材レポなどまったくする気もなく、ただ純粋に全国大会を見たいという想いでやってきた私(笑)は、午前10時頃に会場に到着しました。
ベスト16とかなり二日目は出場校が減ったため、やはり体育館入口前の人はまばら・・。
会場内の熱気はあまり変わりませんでしたし、観客席は相変わらず満席でしたが、二階の観客席背後の通路は「え、こんなに広かったの?(汗;)」と思えるほど空いてました。
試合会場は、三分の一が以下のように観客席と変わっていて、「なるへそ・・」と。
無論1回の観客席で見られるのは出場した選手と関係者だけみたいでしたので、私はあいかわらず二階で見てましたが。
あと、二階の観客席裏の通路で初日は閉まっていた広いフロアへ出るドアが開いていたので行ってみるとたくさんのおみやげを売る売店があって大賑わいでした。
地元の御餅やら、剣道具やら。
どうやら全国大会出場の記念としておみやげに買ってもらうために二日目からお店を開いているようでした。
3回戦目が終わるともう準決勝で、次が決勝と、進行は初日と違ってさくさく進みました。
決勝は確か女子が午後12時半ごろ、午後1時過ぎに男子だったかと思います。
決勝は試合用のテープをささっと大会役員が貼り替えて行われるんですね。
試合する学校名、選手名、試合内容のスコアは会場の二階席前の設置してある6つの大きなモニターにリアルタイムで反映されるのは、さすが30年前とは大きく違って進化してると関心したのですが、リアルタイムでのテープの貼り替えはあいかわらずアナログやなと(笑)
九州学院登場
実は、正直に言いますが初日は九州学院を見つけられませんでした・・・(笑)
準決勝で初めて、「おぉー、あれが九州学院かー・・」と。
だって同じように坊主頭で強そうな学校がゴロゴロいるんですもん。
もっと派手な胴でもつけてくれないとわかりませんよ(笑)
今回は1、2年生のみの選抜大会なのでやっぱり有名な梶谷、星子両選手はいませんでしたが、2年生から常にレギュラーの岩切選手が大将で、他に同じく2年生から昨年のインターハイにも出ていた黒木選手や長尾選手は健在でした。
決勝の雰囲気
夏のインターハイはもっと重い雰囲気になると思うのですが、春の選抜だからでしょうか。
決勝でもわりと観客全体が固唾を飲んでみているという緊迫した固い雰囲気ではなかったです。
もちろん試合している出場選手校の関係者はカチカチになってみていたと思いますが。
女子の方は昨年の夏インターハイを制した中村学園高校が優勝したわけですが、順当だったせいか、なんか勝利が決まった瞬間も会場全体は、それほどうわっと盛り上がるわけでもなくわりと淡々としていたような印象でした。
男子は九州学院が大将戦で岩切選手が引き分けで終わった瞬間、「おうっ!」という歓声がわいたぐらいで、
九州学院の選抜五連覇となったわけですが、五連覇という偉業のわりには、そんなに盛り上がりませんでした。
まぁそりゃそうですよね。
見ている方のほとんどが敗戦した学校の生徒、関係者なんですから。
「また九州学院かー・・」
という感じになるのも当然。
私のような一般観客はごく一部でしょう。
実際、試合が終わったらすぐ観客席の人たちは引き上げ始めたので、私も自分の荷物が置いてあるところまで引き上げる途中、隣を歩いていたある学校の生徒が、「うーん、九州学院が負ける世紀の瞬間を見れると思ったんだけどなー」と友達と話ながら、ぼやいていました。
まぁここまで勝ち続けると九州学院ももう嫌われ役でしょう。
私の現役時代だった30年前の剣道界なんて連覇だって難しい時代で、剣道は勝ち続けるのが難しい競技と言われてましたから、空前の三連覇と呼ばれた後の四連覇はもう異次元で、五連覇なんてもうわけわからん・・の世界ですよ、私ら昭和世代からしてみれば。
ネット上で知り合ったここ10年高校生の全国大会を見続けている方の意見では、ここ最近九州学院が優勝が続いているのも他校のレベルが下がっているからだと最初考えていたけど、10年前の全国大会の映像をいくつか見直してみたら、むしろ全体のレベルも上がっていたと結論づけていたので、決して全体のレベルが下がっているわけではないようです。
九州学院は圧倒的に強いのか?
実際連覇を続けている九州学院ですが、1回戦目からのスコアを見るとおわかりのように圧倒的勝利など一つもなく、引き分けが非常に多いことがわかります。
▼九州学院スコア
男子の部 – トーナメント初日試合結果/グループB
男子の部 – トーナメント二日目試合結果
つまり九州学院は、例え勝てなくても引き分けにできる負けない剣道をしていると言えるでしょう。
ここで大事なのが、別に何か特別に卑怯な真似をして全力で引き分けに持ち込んでいるわけではないということ。
もちろん試合時間が半ばから終盤に差し掛かって、できるだけ1本取られないよう防御中心に試合を進め引き分けに持ち込むこともあるでしょう。
しかし準決勝から試合ぶりを見ていたのですが、そんな気配は一向にありませんでした。
元々王者として試合に臨んでいるのですからそんな考えを持つ必要もないですし、逆に最初からそんな考えでは剣道という競技においては勝てるわけもないですしね。
要するに不用意に攻撃をしかけたり、何も戦略を考えずに戦うということもなく、一瞬の油断もないということですよ。
事実、「剣道人 Vol.5 P28」に星子選手の取材記事で、彼が二年で副将をしていてチームが勝っていたのに二本負けをした時、自分が考えなしに闘っていたことを監督にきつく叱られ、それからはミスをしないように戦うようになったとあります。
またどんなにチームがどんなに勝っていても適当な試合をせず、「全部の試合を絶対に勝つ!」と決めて臨むようにしているとありました。
どんなに技術的、体力的に勝っていても、精神に油断があれば、即負けにつながるのが剣道の世界です。
たとえばバスケなんかだと、攻撃側のプレイヤー三人全員の身長差が20センチもあればまず勝てません。
昨年インターハイを制した時の九州学院主将、個人戦全国二位の梶谷君なんて165センチぐらいしかないのに、180センチもある選手に勝つのですからね。
ぎりぎりの勝負に勝ち切る術を監督から学んでいるのだと思います。
彼らの取材記事をたくさん目を通す中でそのヒントがいくつか見えてきたので、またいつかそれについて書きたいと思います。
大会が終わって思うこと
最後の閉会式までしっかりみてきたのですが、表彰式を映すのもマスコミ関係者ぐらいでそれも他のメジャー系競技に比べたら本当に少なかったです。
観客席もみんな決勝が終わったら速攻で帰ってしまいましたから、観客席に残っている人も非常に少なかったですし、出場選手に全く関係しない単に見たいだけの一般観客など私以外では下手したら10人もいないんじゃないかと思いました。
そう考えると例えば夏の甲子園なんかだと出場チームにまったく関係のない人がたくさん見に来るわけなので、「剣道のまち 春日井」とコピー打つぐらいなのだからせめて市民の人にもっと見に来てほしいですねー。
そのために一番大きな手段として考えられるのは、やはりオリンピックへの競技参加です。
剣道というすばらしい競技の衰退を防ぐためにも、これについては前向きな検討は続けるべきなのかもしれませんね。