剣道における二刀流Q&Aまとめ

炎の二刀流イメージ

現代剣道における二刀流について

さて、剣道をしたことない人にとっては二刀流が今の剣道にあること自体知らなかったりしてトリビアになるほど希少な二刀流ですが、Youtubeを見るとやる人ちらほら増えてきているみたいです。

以前の記事(憧れの二刀流)でも二刀流についてふれましたが、この興味のつきない二刀流について、ネットで話題になるいろいろな疑問について調べた結果をまとめてみました。

 

素朴な疑問あるある(クエスチョン)

まずはクエスチョンをリストアップ。


(1)二刀流の方が一刀より強いんじゃないの?

(2)二刀流で日本一になった人いないの?

(3)なんで二刀流は、はやらなかったの?

(4)二刀流を使う際の大会規則とかあるの?

(5)今でも二刀流を教えているところはあるの?

(6)宮本武蔵の説く二刀流とはどういうもの?

(7)宮本武蔵以外の二刀流の流派は残っているの?

 

以下から上に対するアンサーです。

素朴な疑問あるある(アンサー)

 

(1)二刀流の方が一刀より強いんじゃないの?

剣道を経験したことがない方でそう思う人は多いみたいですね。

しかし真剣でも戦国時代の剣士で兵法家だった有名な塚原卜伝(つかはらぼくでん)などは、同じ技量同士であれば一刀の方が強いと言っていたそうです。

実際、現代の竹刀剣道においても剣道経験者なら誰でもわかると思いますが、二刀流を現実に体現するには、以下の点から非常に困難で相当な鍛錬が必要です。

・竹刀を片手で自在に扱えるだけの握力、腕力が必要

・攻めも守りも、瞬時に両手を役割分担させて同時に機能させなければいけない

つまり、普通の腕力しかなく不器用な人は、まともに剣道できるかどうかも怪しいので、できてもそれなりに強くなるには相当稽古が必要だと思います。

二刀をやるなら段位として三段以上からとしているところもあるほどです。

管理人も現役時代に二刀流と試合したことはありませんが、高校二年生の時に二刀流に憧れて短く作った竹刀を左手に持ち、友達と試してみたことはあります。

大刀として扱う通常の竹刀って片手で扱うとなると非常に重く、打ち込みはおろか、相手に連続技でバンバン打ってこられるともう大パニック。

私は腕力も普通レベルな上、左手の握力が特に弱かったので、片手打ちをした後は、ほとんど竹刀をしっかり保持できず、またガンガン攻められると構えが簡単に崩れて、しまいには大刀をはじかれて落としてしまいました。

剣道の試合では竹刀を落すと反則をとられますから、これだけで負ける確率は非常に上がります。

二刀流で使われる現在の竹刀の規定は、大刀として使う竹刀は一刀の竹刀同様440g以上と決まっているのでまぁ私には無理でした。
(戦前は規定がなかったので学生が勝つためにすごく軽い竹刀を作っていたみたいですが)

またこちらは攻める側にとっての話ですが、高校一年生の時、先輩がふざけて二刀流をやるから相手をせいということで受けてみたのですが、その時はどこをどう攻めたら良いのかわからずこりゃ試合したらすごく苦戦しそうだなと思いましたね。

 

二刀流のデメリットとしてはネット上で語られていたもののまとめでは以下の点があげられていたのでご紹介。

・両方の剣に集中するあまり、どちらも中途半端になってしまう。

・片手で長剣を保持するため、体力の消耗が激しい。

・刀で防御も行う場合、十分な力が無いと両手持ちの剣の攻撃を受けきれない

 

それに対して私が考える二刀流の最大のメリットは以下です。

・相手の竹刀を受けた(防り)と同時にもう片方の竹刀で打つ(攻め)ことができる。

・構えている時点で大刀を面の上に掲げているため、面についてはまずはこちらから打ち込んで構えを崩さないと100%打てない。また小太刀を構える小手や空いて見える右胴を打とうにも打ち込むと同時にお約束とばかりに頭上からもう一本の太刀が打ちおろされることが想定されているため、この二箇所もそうたやすく打ち込めない。

前者においては当然誰もがまずはこの点について圧倒的有利と考えるわけですが、それを実際やるのが非常に難しいのは先述したとおりです。

そして後者についてはこれも私が実際に二刀流に対して経験してみたわかったとおりで、個人的には正直ずるいなぁとしか思えません(苦笑)。

つまり今の二刀流の基本構えをしっかりキープしている限り、そうそう打ち込めないんですね。

攻撃的に見える二刀流ですが、現代の竹刀剣道において現実は逆で、守りに強いのです。

これについて不服として二刀流ははずすべきだと明言されている方がYoutubeにその弁をアップされている方がいて面白かったのでご紹介します(笑)

■剣道雑談、二刀流との試合。一刀流の試合ルールで一緒にやるには無理がある。空いた右腕が胴を覆ってしまう状態は、試合ルール上の矛盾となる。

動画の4分42秒あたりで語られている二刀流剣士が片方の手で胴を隠すように抑えていたという点はびっくりで、審判は注意しないのだろうか?と思ったのですが、それは別の話として・・。

さらに世界戦での韓国戦の話やスポーツチャンバラの話も置いておいて・・。

二刀流はフェアじゃないという主張は、私もさきほどずるいなぁと書いた通り、正直同感でもっともな話に聞こえました。

ただしこれは、スポーツとして剣道を見た場合ですね。

こちらのご本人はスポーツとしてと言っているのでスポーツとして剣道をやっておられるようです。

この点をふまえるといつか剣道もオリンピック競技となった時、ここでの剣道はスポーツとしてわりきって見直し、オリンピック用にルール改正も考えるべきではないかと。

二刀流はなしにするか、もしくは例えば、以前は上段や二刀流に対して認められていた「胸突き」をもう一度再考してみる、なんていうのも一案かと思います。

もしくはこの方が言うように一刀流対一刀流、二刀流対二刀流と分けてしまうのも一案ですよね。

ただ一刀対二刀流って異種格闘技戦みたいで見てて面白いので、私はあっていいと思います。

あと「武道として考えれば二刀あり」と言うなら三刀でも長刀でも刀ならなんでもありにすべきだろというつっこみが聞こえてきそうなので補足ですが、その点についてはそもそも日本剣道の成り立ちに立ち戻って考えてみてほしいと思います。

現代剣道は言うまでもなく武士同士の戦いから生まれており、各流派の代表が集まってケンケンガクガク、口に粟飛ばしながら議論され、制定されていったもの。

その制定するために選出された役員の方の中には二刀流の大家(武蔵流の三橋鑑一郎)もいたんです。

そして二刀流は宮本武蔵誕生のはるか前から元々諸派あり、二刀対一刀の戦いについてはいろんな流派でも形(かた)として残っていて普通に想定されていたので、その点をふまえると二刀流が入っているのはむしろ当たり前のことだったんですね。

 

(2)二刀流で日本一になった人いないの?

今行われている全日本選手権では、昭和30~40年代に、三回戦まで進出された先生が数名いる程度で、上位進出は現在までいないそうです。

しかし、明治維新の後、現在の剣道の基礎が築かれた明治・大正期には、二刀流三大家と言われる田宮神剣流の高橋筅次郎、奥村二刀流の創始者である奥村左近太、「蟹の三橋」の異名をとった武蔵流の三橋鑑一郎といった二刀剣士が活躍しています。奥村と三橋は同年代ですが、高橋は10歳ばかり年長で、奥村は高橋の二刀の達人ぶりに触発されて二刀を始めたそうです。

昭和初期に開催された天覧試合でも、藤本薫(昭和9年)や萱場照雄(昭和15年)などが二刀(二人とも逆二刀)を使って準優勝しているそうなので、二刀流が弱いと言い切れるわけでは全然ないんですね。

萱場照雄選手の決勝戦における実際の映像(9分9秒~)がYoutubeに上がっています。残念ながらこの決勝は打ちあう前の間合いの攻防だけで途中から切れておりますので、打突の攻防を見たい方は1分6秒からの試合をご覧ください。彼が面を決めるシーンがみれます。

こちらは近年の全日本剣道選手権での映像です。

第55回 全日本剣道選手権大会 2回戰 山名信行 x 鹿野允成

 

(3)なんで二刀流は、はやらなかったの?

実は、はやった時期は戦前の昔ありました。

特に学生の間で。

先述の藤本薫や萱場照雄の他、二刀流の学生剣士の活躍が目立ったおかげで、学生の中で少し流行ったようです。

しかし学生の間では試合に勝つためだけの二刀流が横行し、団体戦において竹刀を極端に細く軽くして二刀流の選手を防御一辺倒の引き分け要員とする手段が横行し、本来の剣道のあり方から外れてしまったため禁止されてしまったそうです。

その背景には、昭和初期に日本が戦争への道を歩み始めると、国を挙げての勝利至上主義の風潮となっていったので、これも無理からぬことだったのではないでしょうか。

そして戦後、太平洋戦争後に発足した全日本剣道連盟も、戦前に倣って学生の二刀流を禁止したために減って行きました。

先述の守りに強いという点は私が経験してみて実感した通りですね(^_^;)

ただそのままでは貴重な二刀流の文化がこのまま廃れてしまうということで、学生剣道連盟も1992年から二刀を解禁したので、現在では少しずつですが二刀を使う選手が増えてきているようです。

以下のサイトのページで二刀流が禁止にになるまでの経緯について詳しいことが書いてありますのでご参照ください。

学生剣道における二刀流の功罪

また最近の二刀流剣士たちの映像もご紹介。二刀流が弱いどころか、腕力あって器用な人には強力な流儀となることがわかると思います。

実際Youtubeなどの動画で今では二刀流の女性剣士もけっこう見受けられます。

私が現役の中学、高校時代は女性が二刀流やっているなんて、聞いたこともありませんでしたからびっくりしています。

それにしても相手の女性選手はコテコテに小手ばかり(くだらんダジャレですんませんw)で、やっぱり面とか完全防御されちゃうとなかなか打てないんですよねー。

女性だから突き技を練習していないんでしょう。突きがないせいで、ますます打つ場所がなくなってます。

とここで話を戻しまして・・。

一番のやる人が少ない理由は、上記までの経緯で指導者が非常に少ないため、教えを受けにくいというこれが一番のネックでしょう。

しかも二刀流なんて邪道だと言ってはばからない先生も少なくないぐらいですからね。

ただ世界では宮本武蔵にあこがれて二刀流をやる人は日本に比べると多いそうなので世界戦では要注意です。

実際高校生で初めて世界大会の日本代表になった山田凌平氏がスウェーデンの二刀流剣士と戦っていますが、この時初めて二刀流と戦ったので不慣れなためやりにくかったそうですので。。

確かに面1本だけで試合ぶり見てもすぐ間合いを詰めたりと落ち着いた試合ぶりという感じではないですね。
相手の二刀流の選手もさすが世界選手権に出るだけあって小柄ながら竹刀さばきはたいしたものです。

これから世界で戦う選手たちは、二刀流との稽古も増やしていくべきでしょう。

 

(4)二刀流を使う際の大会規則とかあるの?

あります。

二刀用の竹刀は、それぞれ長さと重さが決められていて、例えば男性の場合、大刀は3尺7寸以下/440g以上で、小刀は2尺以下/280~300gとなっています。

詳しくは以下の全日本剣道連盟サイトの「竹刀の基準-二刀の場合(表2)」をご参照ください。
かなりページの下の方なのでスクロールがんばってください(笑)

見出し「竹刀の基準」

こちらはさらに詳しく立礼の仕方まで
二刀竹刀の規定と作り方

有効打突は、ほぼ大刀ののみで、小刀の方の打突については現在、ほとんど認められていません。戦前は有効となるケースもありました。

また現在、二刀が公式に認められているのは大学の試合からです。

小学生はルール上の規定がないとはいえ、片手での打突自体が手や腕に障害がない限りはそうそう1本と認めらることはないですし、中学生・高校生の場合には、それぞれ中体連・高体連の取り決めで二刀が禁止されています。

(5)今でも二刀流を教えているところはあるの?

以下の二天一流武蔵会でところで教えているそうです。

二天一流武蔵会ウェブサイト

また二刀流と試合してみたい人はぜひとあるので、近くの人は一度お手合わせしてみてはいかがでしょうか?

 

(6)宮本武蔵の説く二刀流とは

 

二天一流は実は二刀で戦う流派ではない。

これはけっこう衝撃じゃないですか?(汗;)

武蔵は、「武士としてのあるべき生き方」をつづった『五輪書(ごりんのしょ)』の「地の巻」で「二刀一流」と名乗る理由を次のように説明しています

「二刀と言い出すのは、武士は大将も士卒もともに腰に二刀を帯びるのが役目だからである。〈略〉この二刀を持つ利点を知らせるために、二刀一流と言うのである。〈略〉わが流の道では、初心の者は、両手に太刀と短刀を持って稽古することが正しいやり方である。命を捨てる時には、使える武具を残さず役に立てたいものである。せっかくの武具を役に立てずに腰に着けたまま死ぬのは不本意である。」

また

『馬上など戦では片手でも刀を使えないと話にならないから、左右どちらでも片手で振れるように二刀をもって鍛練した』

『実際の合戦では、相手からの攻撃を受けてしまい、利き腕を失ってしまう可能性もあります。そんなときでも戦闘を持続できるよう、準備しておくため』

『二刀を持った方がよいのは、大勢と戦う時や、屋内に立て籠もった敵に対する場合など』

などなど。

つまり、
「腰にさす大小二刀を両手に持ち、それらを自在に扱えるよう鍛錬することによって、あらゆる場面に対応できる剣の技術を習得する」というのが二天一流が二刀を用いる真意ということになります。

詳しくは、以下のページをご参照ください。

宮本武蔵は“二刀にこだわらない二刀流”だった

二刀流の真意

 

こちら武蔵会の主張では、二刀と一刀と別々に考えるのではなく、一刀の真髄に至るにはむしろ二刀流を学ぶべきという主張でした。

二刀で一刀が上手くなる

武蔵会のサイトを読むと宮本武蔵の二天一流とはどういうものか具体的にわかってきますので熟読をお勧めします。

(7)宮本武蔵以外の二刀流の流派は残っているの?

宮本武蔵の二天一流以外となると以下があるようです。

・武蔵円明流
・天真正伝香取神道流
・新陰流
・心形刀流
・柳剛流
・影山流
・大石神影流
・徳永双流
・渋川流(現存する広島藩伝の渋川流には二刀剣術が伝わっている)
・神道夢想流(打太刀が二刀の形がある)
・駒川改心流(小太刀と帯刀状態の太刀の二刀で両刀居合詰と称する)
・大東流の合気二刀流(大東流は柔術を主体とした流派)
・柳生心眼流(甲冑組討を主体とした総合武術、小太刀の二刀、太刀と鞘での二刀等)
・天道流(小太刀の二刀を使う技法がある)
・一角流(十手と鉄扇の二刀技法)
・浅山一伝流(陣鎌術に二丁鎌を使う技法がある)
・西岡是心流(通常は長太刀をもつ右手に小太刀をもつ特殊な二刀流)
・二刀鉄人流

Wikipediaから抜粋

 

またこれについて詳しくは、以下のサイトをご参照いただくと良いでしょう。

古流における二刀流

 

番外編

逆二刀対正二刀

ただでさえ二刀同士の戦いは珍しいのに逆二刀対正二刀は、非常に珍しいですね。

それにしても、逆二刀は元全国東京代表の六段で正二刀は三段らしいですが、どっちもレベルが低くて、めっちゃしょぼく見えるのはなぜでしょう?二刀流はまだ修行歴が短いのかも・・。

 

さていかがだったでしょうか?

二刀流に興味がわいた方は、ぜひいつか挑戦してみてください。

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