憧れの上段

このサイトの管理人である私でなくても、もう連載当時は30年も前になる「六三四の剣」という80年代の人気剣道漫画にハマったことのある男性諸氏なら上段という構えには、並々ならぬ憧れの想いを抱いたことがあるのではないだろうか。

その漫画の主人公である夏木六三四は、小学生の高学年になった頃に「無敵の上段」と言われかつて日本一にもなった亡き父から受け継いだ上段で構えるようになるのだが、ライバルに勝つための上段をマスターするため、

近場の中学校剣道部すべてに道場やぶりを仕掛ける、

小学生にして警察道場に通う

などめちゃくちゃな修行をする。

その中で上段で構えるための心構えなども紹介されるのだが、これがまた上段で構えることのできるものは「特別」であることを印象づけられる。

その六三四は高校生になって身長は普通の人よりかなり高くなり、その六三四が構える上段。これがまたえらく様になっていて「かっこいい」のである。

詳しくはぜひ全巻買って愛読してほしい。

上段は、身長が高い人ほどリーチを生かせて有利なため、高校生になると先生方から長身の人は上段を勧められやすいのだが、背が高ければ誰でもやれる構えというわけではない。

片手面が主力技となるため片手で竹刀を振れる腕力と握力が強くないとそのメリットを享受できないという点に加え、何より、”気が強く”ないと向かない。

実際私の高校時代で、1年後輩にやたら体のでかい長身の男がいたのだが、先生に勧められ上段を始めてみたものの、数か月でやめて中段に戻っていた。元々気が強いどころか、むしろ弱い方だったので、今思えば当然の結果だろう(笑)。 

”気が強く”ないと向かない理由として、一見相手を威圧するかのような堂々たる強者の構えに見えるが、実はのどと胴を相手にさらけだしており、しかも竹刀は頭上に構えているためちょっと間合いを詰められればすぐのどや胸を突かれてしまう。

そのためめっぽう気の強い突きの名手などにガンガン突かれて恐怖心を抱いてしまったらもう勝負にならない。

しかし、背が高く片手で竹刀を扱える腕力、握力十分でメンタルも強ければ本当に鬼に金棒とも言える構えだ。
そのリーチの長さから、相手からはまったく届かない遠間からいつでも面が狙えるのだから。

六三四のように遠間から豪快に片手面を決められたらスカッとするだろうなぁと本当に今でもよく夢想する。

身長に恵まれた人で、まだ高校1年、まだまだこれからという人でまだ「六三四の剣」を読んだことのない人は、ぜひその漫画にハマって上段修行を始めてみてはいかがだろうか。

>> 憧れの二刀流

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