剣道に筋トレは必要か?

筋トレイメージ

今回のテーマについて当ブログの個人的な見解として語ってみたいと思います。

結論から言えば、剣道に強くなるためにジムなどにある器具を使用した筋トレが必要かどうかと言えば、必ず必要とは言えません

なぜなら剣道は、筋肉による力の強さが勝敗を大きく分けるという競技ではないからです。相手との間合いの攻防と心・技・体の調和における一瞬の技で決まる競技であり、瞬発力の方が、はるかに比重が大きいと言えます。

これは他の格闘技についても言えることですが、どんなに力が強くても当たらなければ無意味ということです。身体が大きくパワー重視の韓国チームの剣道が世界大会において、団体戦の結果として見れば、ほとんど日本チームに勝てていないという事実がこれを証明していると言えるでしょう。

しかし時代は変わり、スポーツも科学で結果が変わることをほとんどの人が知るようになりました。

そのため剣道は精神と技術の鍛錬を重視する武道ですが、現代では筋力や体力も非常に重要視されるようになってきています。強豪チームが筋トレをメニューに入れていることも珍しくありませんし、最近世界で活躍するスポーツ選手の中でも際立っている野球界の大谷選手があれほどのワールドクラスの選手になれたのも本人の地道な筋トレによるおかげと言っても過言ではないことをすでに多くの人が知っています。
そこで改めて筋トレという観点から剣道が強くなるためのポイントを整理してみたいと思います。

剣道における筋トレとおすすめトレーニング

鍛えられた筋肉がないと打突の威力やスピードも思うように発揮できません。 筋トレを取り入れることで、剣道に必要な筋力を強化し、より効率的な練習が可能になります。そこで剣道の稽古と筋トレを両立させるためのポイントを紹介しましょう。

剣道に必要な筋力

剣道では、全身の筋力が求められますが、特に重要視されるのは次の3つの筋力です。

上半身(腕・肩)の筋力

剣道の打突では、竹刀を振り下ろすために腕と肩の筋力が重要です。 特に、上腕三頭筋三角筋、そして前腕の手首屈筋群※1、指屈筋群※2、前腕回内筋※3。これらの筋肉を強化することで、打突時の安定性と力強さが増し、より効果的な技を繰り出すことができるようになります。

※1 手首屈筋群(しゅくつきんぐん) – これには橈側手根屈筋(とうそくしゅこんくっきん)や尺側手根屈筋(しゃくそくしゅこんくっきん)が含まれ、手首の屈曲を助ける。
※2 指屈筋群(しふくきんぐん) – 深指屈筋(しんしくっきん)や浅指屈筋(せんしくっきん)は指の屈曲を助け、竹刀をしっかり握る力を提供する。
※3 前腕回内筋(ぜんわんかいないきん) – 円回内筋(えんかいないきん)など、前腕の回内(内側に回転する動き)を助ける筋肉。

 

②下半身の筋力

剣道の基本は足さばきと姿勢です。剣道では、常に動き続けるため、なにより足腰の強さが必要。踏み込みやすり足などの足さばきは、下半身の筋力があってこそ正しく行うことができます。足腰が弱いと、踏み込みが甘くなり、相手に隙を与えることもあります。方向転換などの素早い動きや踏み込みを支えるのは、主に大腿四頭筋ハムストリングスふくらはぎの筋肉です。これらの筋肉を効率よく鍛えることができれば、プラスの結果を得られるでしょう。

 

③体幹の安定性を保つ筋力

剣道では、打突の際に正しい姿勢を維持しながら打突箇所へと一点の力を集中させることが必要です。つまり正しい姿勢を維持するために、重要な点が体幹の筋力です。体幹がしっかりしていれば、重心が乱れず、攻撃や防御の際に安定した動作が可能になります。逆に体幹が弱いとバランスを崩してしまうことが多くなります。体幹の筋肉は身体の中心部を支える筋群のことを指します。具体的には以下の筋肉が上げられます。

<体幹を構成する主な筋肉>
  • 腹直筋(ふくちょくきん) – お腹の前面にあり、腹筋の一部を構成します。
  • 腹斜筋(ふくしゃきん) 外側腹斜筋と内側腹斜筋に分かれており、体をねじる動きや側屈に関与します。
  • 腹横筋(ふくおうきん) – 腹部の最深層にある筋肉で、体幹の安定性に重要です。
  • 背筋(せすじ) – 脊柱起立筋など、背中の筋群で、姿勢の維持や背骨の安定に寄与します。
  • 骨盤底筋(こつばんていきん) – 骨盤の底部に位置し、内臓を支える役割を果たします。
  • 横隔膜(おうかくまく) 呼吸に関与し、体幹の安定性を保つ一部でもあります。

これらの筋肉が強化されることで、剣道や他のスポーツでのパフォーマンスが向上し、ケガの予防にもつながります。体幹を鍛えることで、全身の動きを支える基盤がしっかりするため、バランスや安定感も向上します。

 

▼おすすめのトレーニング

スクワット – 下半身の筋力を鍛える基本的なエクササイズです。剣道の足さばきや踏み込みの力を向上させます。正しいフォームで行うことが大切です。

腕立て伏せ(プッシュアップ) – 剣道の打突動作では、腕や肩の筋力が必要です。腕立てを取り入れることで、上腕三頭筋大胸筋を効果的に鍛えることができます。増やしていきましょう。

ダンベルショルダープレス 特に肩の筋力を強化することで、竹刀のスピーディーな振りや連続打突が可能になります。

プランク – 主に腹筋や背筋を効果的に鍛えるエクササイズです体幹を鍛えることで、姿勢を安定させ、力強い打撃を可能にします。

ベンチプレス – 上半身の筋力を強化するエクササイズです。特に腕や肩、胸の筋肉を鍛えることで、力強い打撃を繰り出すことができます。

デッドリフト – 全身の筋力をバランス良く鍛えるエクササイズです。特に背中や脚の筋肉を強化することで、安定感とパワーが向上します。

 

持久力について

筋力トレーニングは、持久力向上にも大いに役立ちます。筋トレと持久力は、一見すると別々のものに思えますが、実は密接に関連しています。剣道の試合は短時間で高強度の動きを繰り返すため、持久力が必要です。筋力トレーニングにより筋持久力を鍛えることで、試合中に疲れにくくなり、最後まで集中力を保つことができます。

筋持久力の向上  – 筋トレによって筋持久力が向上することで、特定の動きを繰り返し行う際に筋肉の疲労が遅れる。例えば、スクワットやデッドリフトなどの複合動作を行うことで、全身の筋持久力が高まる。

心肺持久力のサポート – 筋トレは心肺機能の向上にも間接的に寄与する。特に高強度インターバルトレーニング(HIIT)を取り入れることで、心拍数を上げつつ筋力を強化することができる。

エネルギー効率の改善  – 筋トレによって筋肉のエネルギー効率が向上し、酸素の利用効率も上がる。その結果、持久的な運動時に疲れにくくなる。

 

おすすめのトレーニング

高強度インターバルトレーニング(HIIT) 短時間で高強度の運動を行い、その後短い休憩を繰り返すトレーニング方法。持久力と筋力を同時に鍛えるのに効果的。

サーキットトレーニング – 複数のエクササイズを連続して行い、全身をバランスよく鍛えるトレーニング方法。持久力向上と脂肪燃焼に効果的。

コンパウンドエクササイズ デッドリフトやスクワットのように、複数の筋肉群を同時に鍛えるエクササイズ。これにより、全体的な筋持久力と心肺機能が向上する。

 

ケガの予防という観点

強靭な筋肉は、関節や骨をしっかりと支え、ケガを予防する役割も果たします。特に剣道では、激しい動きや打撃を伴うため、筋力トレーニングにより身体を強化することが重要です。例えばプロサッカーの世界では、怪我が原因でパフォーマンスが著しく低下し、選手生命が短くなってしまうケースをよく見聞きしていると思いますが、その点からも筋トレは非常に大きな役割を果たすと言えるでしょう。

 

剣道筋トレと稽古のバランス

筋トレは剣道のパフォーマンス向上に非常に有効ですが、練習とのバランスを取ることが大事です。筋トレをやり過ぎると、疲労が蓄積し、技術的な練習が疎かになることがあります。剣道は技術と精神面が大きく問われる武道ですので、筋力だけでなく、技術力や精神力を向上させる稽古が最も重要です。筋トレは、長時間稽古をサポートする手段であり、打突や足さばきなどの技術を磨くことが優先されるべきです。

筋トレを行うタイミングとしては十分休息を取った稽古後が良いです。剣道稽古後に筋トレを行うことで、剣道で使った筋肉を効果的に鍛え、次の稽古でパフォーマンス向上を取り組むことができます。

また、筋肉を強化するだけでなく、正しい休息と栄養補給も大切です。 筋肉は休息中に成長するため、無理に毎日筋トレを行うのではなく、週に2~3回を目安にして、計画的にトレーニングメニューに取り入れるようにしましょう。

 

まとめ

剣道は、技術だけでなく筋力体力も求められるスポーツです。下半身、体幹、腕・肩の筋力を鍛えることで、打撃の威力やスピード、持久力が向上します。日々の練習と並行して取り入れることで、剣道のパフォーマンスを高めることができます。 筋力を向上させ、より強く、より速く、そして集中力を持続させて、剣道の実力をさらに高めてください

スポンサーリンク
筋トレイメージ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA